親子で学ぶインターネットの安全な使い方
現役小学校教諭、野間俊彦先生のコラムです。教育現場から見た子どもたちとインターネットの関係や注意点などを先生ならではの切り口でお送りします。
「ネットの危険と対策1 ケガをしないために」
第2回で書いたように、ネットには子どもに迫るたくさんの危険があります。その中でも、身体に影響を及ぼす危険は重大です。そこで今回は、「出会い系サイト」「ネット中毒」「ネット心中」を取り上げて現状と対策を紹介します。 野間俊彦先生
プロフィール

 出会い系サイト

 出会い系サイトとは、出会いやコミュニケーションを求める不特定多数の人に交流や紹介の場を提供するサイトのことです。子どもたちが楽しく自分たちのネットワークを広げている出会いのネットワークもありますが、ここで問題になるのは、男女の出会いや性的関係を目的にしているサイトのことです。

 平成14年に警察庁が行った調査では、中学生の18.5%が出会い系サイトにアクセスした経験があり、そのうち約半数が相手と実際にあったと報告されています。また、平成15年版の警察白書によると、児童買春事件の92%が子どもからの誘いかけとなっています。

 「出会い系サイトなんてうちの子に限って」と思われるかもしれませんが、子どもたちは、暇つぶしや軽い気持ちで出会い系サイトにアクセスしたり、無差別に届く勧誘メールにうっかりアクセスしてしまったりすることも多いのです。一歩間違えれば、子どもたちだけでは解決できないことにまで発展してしまい、時には命の危険にもさらされることもあります。そこまで行かなくても、嫌がらせメールや、いたずら電話などにつながることもあります。

 話は飛びますが、オレオレ詐欺がこれだけ報道されているにもかかわらず、被害額が今年だけですでに100億円を超えているのは、手口が巧妙になっているからです。出会い系サイト絡みの事件も同じで、じつに巧みに誘いをかけてきます。

なにげなくアクセスした出会い系サイトで、異性から優しい言葉をかけられて、つい返事を書いてしまった。
出会い系サイトで知り合った男性に「映画でも観ようと」誘われて、「映画ぐらいいいか」と行ってみたら数人の男性に囲まれてお金を取られた。
女性から宛先を間違えたようなメールが届いたので返信して知らせてあげたら、お礼メールに「よかったら私の悩みを聞いてもらえますか」とあり、何通かやり取りしているうちに出会い系サイトを紹介された。

 2003年9月に施行された「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(いわゆる出会い系サイト規制法)」(出典:法令データ提供システム/総務省行政管理局)では、保護者の責務として、出会い系サイトへのアクセスを防止するよう努めなければならないと明記されています。ご存じでしたか?

対策
知らない人や、知らないサイトからのメールは無視するように話しましょう。
子どもに出会い系サイト絡みの怖さを教えましょう。
絶対に出会い系サイトにはアクセスしないように話しましょう。
もし、うっかりアクセスして誰かに誘われたり、被害を受けそうになったりしたら、自分だけで悩まないで、すぐに親に相談しなさいと話しておきましょう。

 ネット中毒

 インターネットには巨大なオンラインゲームの世界が存在し、世界中の人がアクセスしています。ゲーム上ではリアルタイムに他の人との会話や冒険、旅や買い物を楽しむことができます。そのようなゲームに熱中するあまり夜更かしするようになり、やがて不登校になったり、引きこもってしまったりする例が増えています。ブロードバンド先進国のある国では、小学生の5%がネット中毒になっていると言われ、80時間不眠不休でゲームをしていた若者が死亡するなど深刻な事態になっています。日本ではまだそこまで深刻にはなっていませんが、ブロードバンドが普及した今、日本もそうならないとは誰にも言えません。

対策
オンラインゲームが悪いと言っているのではありません。何事もバランスが大切だということです。ゲームは1日1時間にするとか、家族でルールを決めましょう。
家族の会話を増やしたり、家庭の仕事を分担させたりするのも、ゲームの時間を減らすためには有効です。
日頃、子どもがどんなサイトを利用したり、どんなゲームをしたりしているか、会話の中でそれとなく聞き出しておくのも大切です。
ネット中毒は健康面でも精神面でも影響が大きいので、子どもが夜更かしを始めたり学校を休みだしたりしたら、プロバイダを解約するなどして、物理的にオンラインゲームのない環境にしましょう。そして、学校や区市町村の相談センターなどに相談しましょう。

 ネット心中
 ネット心中とは、自殺サイトの掲示板で知り合った人同士が一緒に自殺してしまうというものです。当日初めて顔を合わす、お互い名前も知らない若者たちが、簡単に命を捨ててしまうという、何ともやるせなくなる事件です。幸い小中学生がネット心中をしたという話はまだ聞きませんが、小学生のうちから「自分は大切にされている」「自分は家族の一員」という思いを感じるような親の心配りが必要でしょう。

対策
家庭で認められたり、安らげたりする子どもの居場所をつくりましょう。
悩んだり困ったりした時に相談できる親になりましょう。そのためには、やはり家族の会話が必要です。
 

野間俊彦(のまとしひこ)
東京都北区立西ヶ原小学校副校長

専門は図工であるが、パソコン歴が長く、インターネットにも詳しい。学校全体の情報教育を推進する立場にあり、小学校の情報モラル教育第一人者である。平成13年度からは情報モラルの育成に取り組み、実践を学校のホームページで公開している。他の学校や研究会に講師として呼ばれることも多く、今は情報モラル育成の必要性を広く伝えることが使命だと考えている。
 現在、文部科学省の初等中等教育における教育の情報化に関する検討会委員や、文化庁著作権教育プロジェクト協力者として活躍中。著書に「親と子のインターネット &ケータイ 安心教室」(共著 日経BP社)、「インターネット教授法ガイドブック」「インターネット護身術」(工学社)など多数ある。

赤羽台西小学校のホームページ
http://www.kita-tky.ed.jp/~es32/



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